知覚過敏とはどんな状態?
知覚過敏(ちかくかびん)とは?
知覚過敏になると、歯ブラシの刺激や甘いもの、冷たいものを飲食した時、風に当たった時などに歯に痛みを感じます。
また、知覚過敏の場合は、虫歯や歯周病、歯の神経の炎症などの病変がないにもかかわらず痛みが出ることを指しています。
原因は?
歯は、3層構造になっています。
最も表面にあるのが「エナメル質」、次が「象牙質」、最も内部にあるのが「歯髄」です。
この内、エナメル質は削っても痛みが出ません。しかし、象牙質はなにかに触れたり、冷たいものや熱いもの甘いもの、酸っぱいものなどに触れると刺激が内部の神経に届き、痛みを感じます。
通常、象牙質は表面のエナメル層に覆われているので痛みを感じることはありませんが、アイスクリームなどの冷たいものはエナメル質の上からでも冷たさが伝わり、痛みが出ることもあります。
今回ご紹介している「知覚過敏」は、何らかの理由によって象牙質がむき出しになったことで小さな刺激が神経に伝わりやすい状態のことを指しています。
この象牙質の中には、無数の管状のもの(象牙細管)が通っており、それを介して内部の神経に刺激が届きます。
ただし、加齢などによって隙間が塞がることもあるため、象牙質が露出してしまったからといって絶対知覚過敏が生じるというわけではありません。
歯肉の退縮
歯肉は年齢を重ねるとともに、少しずつ退縮していきます。そうなると、歯の根の部分が露出します。
歯根部はエナメル質に覆われていないため、常に象牙質が露出した状態となります。
歯ブラシの毛先が触れた時や冷たいもの、熱いもの、甘いものなどの小さな刺激が「キーン」や「ズキン」とした短い痛みになるのです。
痛みは一過性のもので、長くても1分以内には収まるため、痛み自体が辛いと感じることは少ないです。
また、スケーリング(歯石とり)を受けていただいた時も知覚過敏と同じような痛みを感じることがあります。
これは、スケーリングに用いる専用の器具が象牙質に当たったり、処置の際にかける水や冷たい空気が原因です。
歯の破折
交通事故やスポーツ中の怪我など、歯が破折してしまった時も象牙質がむき出しになり、知覚過敏の症状が出ることがあります。
破折してしまった歯以外にも亀裂が入ってしまっているおそれもありますし、歯の神経に細菌が侵入して炎症を起こすこともありますので、破折してしまった際はすぐに歯科医院で治療を受けてください。
経年劣化による象牙質露出
私たちは毎日歯を使って生きています。歯を使用しない日はほとんどなく、毎日の食事や歯軋り、食いしばりによって少しずつすり減っていきます。
つまり、使っているうちに象牙質がむき出しになってしまうことも十分に考えられるのです。
ただ、歯がすり減っているからといって必ずしも知覚過敏の症状が出るとは限りません。
口腔内が酸性に傾くと象牙質が露出しやすくなる
歯の表面部にあるエナメル質は、pH5.5くらいで溶け始めます。
私たちが毎日口にしている飲食物の多くは酸性となりますので、歯が溶けないように十分気をつける必要があります。
例えば、炭酸飲料を時間をかけてダラダラ飲んだり、酸っぱい食べ物を長期的に摂取するような食生活を送っていると、口腔内が酸性に傾き、歯が溶けて象牙質がむき出しになります。
これを「酸蝕歯」(さんしょくし)といいます。
象牙質はエナメル質よりも酸に弱い性質がありますので、どんどん歯が溶け、知覚過敏の症状も強くなっていきます。
虫歯治療に知覚過敏が生じることもある
歯を削る際に傷みを感じやすくなってしまう、噛み合わせが悪くて傷みが出るといったものが多く、再治療や神経を除去する根管治療が必要になることもあります。
ホワイトニングと知覚過敏
近年、ホワイトニングが大流行していますが、歯の漂白をするにあたって軽度の知覚過敏が出ることもあります。
この場合の直接的な原因は、ホワイトニングの薬剤による影響が大きいものの、まだ研究の途中で判明していないことも多くあります。
最近はご自身でやっていただくホームホワイトニングをしている方も多いですが、この場合、だいたい1日か2日やらない日を設けるだけで症状は収まります。
ホワイトニングの治療が完了した後は、知覚過敏の症状もなくなりますのでご安心ください。
知覚過敏があると、どうしても○○を食べるとしみるなど、食事の制限にも繋がってしまいます。
治療も可能ですので、飲食時に気になる痛みがある方は是非1度チェックしてみてください。