プロが教える、歯ぎしりの特徴と治すための方法【前編】
あなたは、ご自身の悪習癖の有無について考えたことがありますか?
そのほとんどが本人の無意識下で行われますが、だからといって放置していると大切な歯の寿命を短くする恐れがあります。
今回は悪習癖の一つである「歯ぎしり」をテーマに、具体的なサインを紹介します。
ご自身の口腔状態と照らし合わせながら、ぜひご覧になってくださいね。本記事が、あなたの悪習癖を自覚するきっかけになれば嬉しいです。
家族や友人から指摘された経験はありませんか?
歯ぎしりは基本的に、就寝中という本人の無意識下で行われます。
そのため本人よりも、一緒に寝ている家族や友人の方が先に気付くのが特徴です。
歯を擦り合わせるときの音などが、そのきっかけになりがちです。
症状はほかにもありますので、ご自身の状態に照らし合わせながら1つずつチェックしてみてください。
1.歯が大きく擦り減っている
鏡で口の中を見たときに、歯が全体的に擦り減ってはいませんか?
歯の先端が削れて、真っ直ぐになっている場合は要注意です。場合によっては、犬歯とその周りのみが擦り減っているケースもあります。
大きく削れている場合、歯の形状が全体的に変化している可能性もあるのでよく確認しましょう。
2.頬の内側の粘膜や舌の表面に歯の痕がないか
上下の歯を左右に擦り合わせていると、頬の内側粘膜や舌の表面に歯が食い込んで痕がつくことがあります。それらの場所に傷やギザギザの痕がないかどうか、鏡でチェックしてみてください。
いずれかに該当する場合、歯ぎしり型もしくは噛みしめ型である可能性があります。それぞれの詳しい症状は後半で説明します。
頭痛や肩こりが頻繁に起こる
頭痛や肩こりなど、頭部周りの原因不明の症状に悩んでいませんか?
いずれかに心当たりがある場合、歯ぎしりが関係しているかもしれません。
というのも歯を擦り合わせると、脳から筋肉へ異常な指令が出されます。それによって頭や肩、顎を動かす筋肉などが疲弊して痛みを生じるのです。朝起きたときに、顎周辺にこわばった感覚がある人も要注意です。
歯の欠損をしたことがある
歯ぎしりは知らず知らずのうちに、歯へ強いダメージを与えています。次第に脆くなり、ふとした拍子に欠けたり割れたりする恐れがあるでしょう。
ちょっと当たっただけでダメになり、元の状態に戻せないケースもあります。最悪の場合、抜歯を伴う処置が必要になる可能性があることを知っておきましょう。
歯の根が欠けている
転倒などの衝撃で折れがちなのは先端部分ですが、根の部分にも注意が必要です。特定の場所に負担がかかると、歯がえぐれたように欠損する可能性があります。
犬歯とその周辺には、特に注意が必要です。歯を磨くときに歯ブラシで強く擦ると、痛みや擦り減りにつながるので気を付けましょう。
歯が頻繁に染みる
むし歯でないにも関わらず、歯が頻繁に染みるのも危険なサインです。
根の部分がダメージを受けて、知覚過敏を引き起こしているかもしれません。これは「象牙質」と呼ばれる、エナメル質の内側部分が露出することで起こる症状です。
冷水や冷風が当たったときに、歯が染みやすいのが特徴です。
一つの物事に集中しているときも要注意!
「歯ぎしり=寝ているときに起こる」と思われがちですが、実はそれだけではありません。
特定の物事に集中しているときや、緊張状態にあるときも注意が必要です。
ただ寝ているときに多い、上下の歯を左右へギリギリと動かす症状が出るのは稀です。ギュッと噛みしめる症状が出やすいので、日頃のご自身の様子を振り返ってセルフチェックしてみてください。
ただ無意識下で行われるので、どうしても気付きにくいとは思います。家族や友人など、周囲の人にも協力を仰いで確認してもらいましょう。
補綴物がよく取れる
歯に大きな負担がかかり、詰め物や被せ物といった補綴物が取れやすくなります。治療して何年も経過している、保険適用での金属製の補綴物は特に外れやすい傾向にあります。
「朝起きたら取れていた」
「何回も外れて再治療を受けたことがある」
という人は、歯ぎしりが影響しているかもしれません。
顎関節の痛み
開口時にカクカクという小さな音が出たり、朝起きたときに顎関節が痛んだりするといった症状はありませんか?
いずれかに心当たりがある場合、顎が大きなダメージを受けている可能性があります。顎周りに位置する「噛むための筋肉」が疲弊し、痛みを引き起こしているのです。
骨隆起が生じている
歯茎が盛り上がっている方も、悪習癖の可能性が疑われます。特に、舌と歯の裏側周辺の歯茎がデコボコになりやすいので入念にチェックしてください。
骨隆起は歯茎そのものではなく、その内側の骨が盛り上がって起こります。
痛みが出にくいため、気付くまでに時間がかかる人もいるでしょう。治療を急ぐ必要はありませんが、日常生活やほかの治療に支障をきたしている場合は削るなどの対処が必要です。
今回はここまでです!
歯ぎしりをしている人の特徴について、理解していただけたでしょうか?
次回も同じテーマでお話しするので、引き続きご覧になってくださいね。