痛くない虫歯は要注意!知っておくべき5つの原因と治療法【前編】
痛くない虫歯ほど実は危険?!
突然ですが皆さんは、最近歯科医院を受診しましたか?
「そういえば何年も行っていないなあ」
「こないだまで少し痛かったけど、今は症状がないから大丈夫」
このように考えた方もいらっしゃるかもしれません。
この考えは、実に危険です!
痛みがなくとも、むし歯が少しずつ進行している恐れがあるためです。
自覚症状がなければ、なかなか歯科医院に行こうとは思わないでしょう。そのため痛みが出て受診したときにはすでに進行しており、抜髄(神経の除去)や抜歯を余儀なくされるケースも少なくありません。
日頃から「我慢できない症状が出たら医療機関を受診する」というスタンスの方は、歯を失くすリスクが高いと考えられます。
年齢を重ねても健康な口腔状態でいられるよう、本記事をぜひ今後の参考にしてください。
1.痛みのないむし歯があるのはなぜ?
まずは、痛みが出にくいむし歯のパターンを5つ紹介します。原因や治療法も併せて解説するので、自分の口腔状態と照らし合わせてみてください。
1-1.神経が壊死した歯
初期段階のむし歯は痛みがなく、それから進行するにつれてズキズキと痛むようになります。我慢できない状態が続いたあとに痛みが突然なくなることがありますが、これは決してむし歯が治ったわけではありません。
むし歯菌が歯の奥にまで到達し、蝕まれた神経が壊死しているのです。
痛みが出たときに、痛み止めの服用などでその場しのぎのことばかりをしていると、このような状態に至ります。
ほかにも過去に治療した歯の奥に潜むむし歯菌や、打撲などの衝撃がきっかけで神経を徐々に弱らせることもあります。
鏡を見たときに、灰色に変色している歯があれば要注意です。
神経の壊死を疑い、早急に歯科医院を受診しましょう。
中には「痛みがないなら、放っておけばよいのでは?」と考える方がいらっしゃるかもしれませんが、その考えは危険です。
放っていると、やがて腐敗して歯が溶けます。さらに細菌が繁殖して、膿の発生、激痛やひどい腫れを引き起こすでしょう。そして歯槽骨が溶け始め、最悪の場合は全身に悪影響を及ぼします。
歯の変色がある場合は、とにかく早めに診てもらってください。歯科医院で熱刺激や電気刺激、レントゲン撮影などによる検査を実施したのち適切な治療を行ないます。
具体的には歯の上部へ穴を空け、神経を除去して消毒します。その後、薬剤を詰めたらフタをして細菌の侵入を防ぎます。これでも痛みや腫れが続く場合は、抜歯が必要になるかもしれません。また抜髄時に膿がキレイに除去できないときは、歯茎を切開して取り除く手術を行なう運びとなるでしょう。いずれも大掛かりな処置となるため、それ以前に歯科医院で治療を受けることが重要です。
1-2.歯の根元にできる「大人むし歯」
30代以上の成人に多いのが「根面う蝕」と呼ばれる、歯の根元にできるむし歯です。主な原因は、不適切なブラッシングや歯周病による歯茎の後退です。
というのも歯の表面は通常「エナメル質」という硬いもので覆われていますが、歯茎の中に存在する根元部分は例外です。
そのためむし歯になると、あっという間に象牙質が蝕まれて取り返しがつかない事態となります。根面う蝕は自覚症状が出にくい、恐ろしいむし歯といえるのです。
このタイプのむし歯は、歯茎の下に向かってどんどん進行します。健康な部分との境界がわかりにくいため、治療が難しいというのが正直なところです。治療が遅れると、どんどん広がるというリスクもあります。
初期段階であれば通常と同じく「必要な分だけ削って詰め物(レジンと呼ばれる歯科用プラスチック)をするだけ」で済むので、
定期的に歯科健診を受けることが重要です。
歯周病の改善や予防も根面う蝕を防ぐことにつながるので、
日々のブラッシングと歯科医院での定期的な歯科クリーニングを併用して清潔な口腔状態を維持しましょう。
今回は、2種類のむし歯について解説しました。
残りの3タイプについては、次回詳しく紹介します。