痛くない虫歯は要注意!知っておくべき5つの原因と治療法【後編】
痛くない虫歯は危険?!
今回も引き続き、痛みが出にくいむし歯について解説します。原因や治療法も併せて紹介するので、ご自身の症状と照らし合わせながらご覧ください。
1-3.二次カリエス
過去に治療した歯が再度むし歯になることで、被せ物や詰め物の経年劣化が主な原因です。劣化によるわずかな隙間から、むし歯菌が侵入して徐々に進行するのです。
被せ物や詰め物の奥や境目が特に蝕まれやすく、定期的に鏡を見ていてもなかなか気付けません。痛みなどの症状がない場合、自ずと放置することになるでしょう。
このタイプのむし歯も、あっという間に進行するのが特徴です。ですが被せ物や詰め物は汚れが付着しやすいため、手入れがしにくいのも正直なところです。
先述した内容と被りますが、やはり定期健診を受けて早期発見・治療と予防に励むことが重要になります。
治療法としては、むし歯検査機(レーザー光を用いて、むし歯のサイズや深さを数値化する機器)やレントゲン撮影、診察をしたのち再度むし歯部分を除去します。殺菌後、新たな被せ物や詰め物をすれば完了です。
ただし神経まで蝕まれている場合、抜髄などが必要になるかもしれません。
二次カリエスが起こるたびに健康な部分は削られますので、そうならないためにも定期健診を受けましょう。
1-4.初期段階のむし歯
むし歯菌が放出する酸によって、エナメル質が溶かされるとむし歯になります。白く濁るのが特徴で、痛みはまだありません。自分自身では気付きにくいですが、この段階で発見できれば元の健康な歯を手に入れることが可能です。
こちらも同じく、定期健診を受けて早期発見・治療を目指しましょう。
もし発見された場合は、診察やレントゲン撮影、むし歯検査機による検査を経たのち、進行を食い止めるためのブラッシング指導やフッ素の塗布が行なわれます。フッ素やリン酸カルシウムの塗布は歯の再石灰化を促し、歯を元の状態へ戻すことをサポートしてくれるでしょう。
削った方がよいと判断されることもありますが、少し削ったのちレジンを詰めて完了となるケースが大半です。治療期間や時間も最小限で済み、精神的な負担がかかる心配もないでしょう。
1-5.慢性的な虫歯
これまで紹介したのは、比較的進行が速いタイプのむし歯ばかりでした。しかしむし歯には、急性だけでなく慢性のものも存在します。
急性むし歯は、一般的に子どもや若者にも多く見られ、歯が黄色から茶色に変色するのが特徴です。痛みも強く、あっという間に進行するでしょう。
一方で慢性むし歯は、成人に多く見られます。歯の表面や溝が、何年もかけて黒く変色していくというものです。痛みなどの自覚症状はほぼありません。
そのため慢性むし歯は、歯科医師に診断してもらう必要があります。
定期健診などで慢性むし歯が見つかったら、進行状態をチェックします。進行が止まっていれば歯科クリーニングやブラッシング指導、フッ素塗布などが有効です。治療の必要性については、進行具合によって変わるでしょう。
まとめ
むし歯は痛みがきっかけで自覚することが多いため、今回紹介したタイプのむし歯は、患者さまご自身ではなかなか気付けません。
歯の健康を維持し、何かあった場合に早期発見・治療を行なえるよう、日頃から定期的に歯科健診を受けましょう。理想の受診頻度は、3~4ヶ月程度に1回です。
健診では口腔状態の確認のほかに、ブラッシング指導や専用の機器を用いたクリーニングを行ないます。日頃のセルフケアと併せてこういったプロケアを受けることにより、大切な歯を長持ちさせやすくなります。
痛みがないからといって何もしないのではなく、病気が潜んでいるリスクを疑って歯科医院を受診しましょう。