顎が痛いのは虫歯のせい?痛みのさまざまな原因と治療方法を紹介
むし歯の症状は、歯の痛みだけだと思っていませんか?
実はむし歯を放置すると、頭痛や顎の痛みが生じる可能性があります。むし歯が原因で、なぜほかの部位が痛くなるのか不安に感じる人もいるでしょう。
そこで今回は、むし歯が原因で起こる顎の痛みについて詳しく解説します。適切な対処法も紹介するので、心当たりがある方はぜひ参考にしてください。
1.顎が痛むときの応急処置
1-1. 外側から頬を冷やす
痛みのある部分を、外側から冷やすことで緩和される場合があります。市販の冷却シートなどを活用し、適度に冷やしましょう。
保冷剤や氷を使用するなどして、冷やしすぎると血行不良を起こす可能性があります。冷やしすぎないよう気を付けてください。
また重度のむし歯の場合、口の中へ直接氷を含んで冷やすのもNGです。むし歯の影響で知覚過敏になっていると、痛みが強くなる恐れがあるためです。
1-2. 市販の鎮痛薬を服用する
痛すぎて我慢できないときは、市販の鎮痛薬を服用するのも一つの方法です。痛みの影響で食事ができない、あるいは眠れないと、免疫力が低下して症状が悪化するかもしれません。状態をさらに悪くしないために、鎮痛薬を服用して食事や睡眠を十分にとりましょう。早めに歯科医院を受診することも大切です。
2.顎が痛むのはなぜ?
2-1. むし歯の影響で膿が蓄積して炎症を起こしている
むし歯が原因で顎が痛む場合、顎下部の「蜂巣炎」や「歯根嚢胞」が疑われます。
細菌感染が組織の隙間へ広がっていく化膿性の炎症を「蜂巣炎」といい、むし歯が原因の場合は顎下部や頚部が赤く腫れます。むし歯だけでなく、歯周病が原因で起こるケースもある病気です。
点滴で炎症を治めたのち、原因となるむし歯を抜いて治療します。
「歯根嚢胞」は歯髄(歯の神経)までむし歯が達して、歯根の先まで侵蝕された場合に起こる炎症です。嚢胞の摘出術や根管治療を行います。
2-2. どの程度のむし歯で顎に炎症が起こる?
むし歯菌によって歯が溶かされる病気を「むし歯」といい、進行具合に応じて「C1~C4」に分類されます。
【C1】
歯の表面のエナメル質が溶け始めているが、痛みは自覚しにくい状態
【C2】
エナメル質内部の象牙質にまで進行し、歯がしみたり痛んだりする状態
【C3】
むし歯が歯髄にまで到達し、強い痛みが出ている状態
【C4】
むし歯菌に歯をすべて蝕まれ、根だけ残っている状態
歯科医院へ行くのが面倒だからといって、むし歯を放置すると症状はどんどん悪化します。むし歯菌によって膿が蓄積し、顎骨が溶け出して顎にも痛みが生じるでしょう。場合によっては発熱も見られます。
3. むし歯以外で顎が痛くなるケースはある?
3-1.親知らず
歯列の最奥へ、最後に生えてくる臼歯が「親知らず」です。顎が小さいと親知らずの生えるスペースが不足するため、斜めに生えたり半分だけ埋まっていたりします。
すると磨き残しが生じやすくなり、親知らずの周りで「智歯周囲炎」という炎症が起こります。進行すると、最終的に顎骨へ炎症が出る可能性もあるでしょう。これが、顎が腫れたり痛んだりする原因です。
親知らずはほかの歯よりもむし歯になるリスクが高いので、抜歯をするケースも少なくありません。気になる方は、かかりつけ医で抜歯の必要性について確認しましょう。
3-2. 歯周病
歯についた歯垢や歯石に付着した細菌が繁殖し、歯や歯茎で起こる炎症を「歯周病」といいます。
歯周病は自覚症状が出にくいため、知らず知らずのうちに進行しているケースもあります。仮に症状が出ても、放置していると顎にまで炎症が起こるでしょう。
歯周病を防ぐには、日々のブラッシングだけでなく定期的な歯科健診の受診が欠かせません。自分では除去できない歯石などを、専用器具を用いた歯科クリーニングでキレイにしてもらいましょう。
3-3. 顎関節症
「顎を動かすと異音がする」
「口が思い通りに開かない気がする」
これらの症状に心当たりがある場合「顎関節症」が疑われます。
顎の左右で動きにズレがあったり、頻繁に外れそうになったりするのも症状の一つです。
進行すると肩こりや痺れ、片頭痛、鼻や耳の不快感など全身へ症状が出るようになるでしょう。顎関節症は最悪の場合、顎の機能を失う可能性がある恐ろしい病気です。
今回紹介した症状の、いずれかに心当たりがある方は、早めの受診をおすすめします。
3-4. 口腔顔面痛
歯や歯肉、頭部や顎に慢性的な痛みが出ている場合は「口腔顔面痛」の可能性があります。
原因は多岐にわたり、身体的なものだけでなく心理的葛藤やストレスなど心理的なものが挙げられるケースも少なくありません。
原因によって治療法が異なるため、一概に「これで治る!」とは言い切れません。気になる方は、医療機関を一度受診しましょう。
4.まとめ
顎が痛む原因は、むし歯だけではありません。歯周病や口腔顔面痛、親知らずの存在が関係していることもあります。
いずれも進行すると症状が悪くなり、ほかの疾患を併発しかねません。
まずは応急処置で対応し、症状が進行する前に歯科医院を受診しましょう。我慢せず、すぐに対処することが大切です。
どの歯科医院を受診すればよいかわからない場合は、タナベ歯科クリニックへご相談ください。症状や口腔状態を確認した上で、適切な治療法をご提案いたします。